残穢

最近、「怖い話を読んだり観たりしたい熱」が久しぶりに再燃しており、その一環で読んだ。作者の小説は読んだことなかったが、面白かった。
内容はドキュメンタリー形式で、一応作者(っぽい人)の1人称形式で話が進んでいくので、それほどドラマティックな展開があるわけではないが、それが逆に怖い。様々な点が線として繋がっていく時の「これヤバくね? 触れたら駄目だったんじゃね?」感がよりリアルに迫ってくる。
作中で起きる1つ1つの現象はどれも「偶然といえば偶然。錯覚といえば錯覚」的なものばかりだが、そこに見え隠れする「穢れ」のシステムが明らかになるにつれて「だめだよー、これだめだよー。近づいたらだめなやつだよー」となっていくのが凄い。作中で説明される『延喜式』における「触穢」の考えや規定って、日本風の心霊的なものに対するかなり腑に落ちる説明というか、感じ方の根本になってて、勉強にもなった。「うらみつらみによる因果」よりも「関わるモノにまとわりつくナニか」というほうが怖いしねー。この考え方がこれからの怖い話のスタンダードになっていきそうな予感。今も似たような話はあるけど、ここまでキッチリと? 説明したものはなかったと思うので。

あと、映画の「エクソシスト」なんかにも通じるけど、「誰にも助けを求めることができず(助けを求めても相手にされないか、どうにもならない)、孤独の中でだんだんと正気を失っていく」ってきっついなー。どうやっても陽光が当たることのない暗がりのようないやーな感じ。


・・・で、これって本当は実話だったりして?

残穢

残穢