時をかける少女

原作読了済み。大林版は未見。あとで観ます。


二度とは戻らない青春、繰り返される夏の風景、淡くはかない恋と友情、そしてまだ見ぬ『未来』――。……こ…これは凶悪な作品だ。凶悪すぎる。SF仕立てでこんな物語を描かれたら、なかなか抗し切れるものではないだろう。然るべき時に観てたら脳みそ貫かれるんじゃなかろーか。俺は腐敗が激しいのでもうアレでしたけども。

「青春のかけがえの無さ」をタイムリープというギミックで表現する、という原作の旨み成分を最大限に活かしつつ、おバカ型主人公で感情移入もバッチシ、と。凶悪だ、やっぱり凶悪すぎる。なんか観た後、問答無用で「青春っていいもんじゃよねー、オンナスキー」とか言っちゃいそうなくらい。無論、オンナスキーからは「黙って飯を食え、バカが」とか言われる。

タイムリープの危険性」みたいな部分も興味深かった。事象そのもののコントロールと完全把握が不可能な以上、いくらリセットを繰り返したところで「理想の未来」になんか辿り着けないんじゃないか? という。修正、修正、修正、修正、修正、やっぱダメだー、みたいな。


全体の感想としては、あまりに味付けが爽やか過ぎて俺にはちょっと合わない部分もあり、でも十分に面白かった。といったところでしょうか。



これで名実ともに細田監督がこれからのアニメ業界に君臨することになりますか。駿、富野、押井、大友……巨匠と言われる監督たちはもれなくマイワールドに没頭しちゃってるからなー(庵野? うーん)。これはもうどんな監督でも最終的にはそういう風になっちゃうんでしょうけど。業界を背負えるだけの器っていうのはものすごーく貴重だと思うので、細田監督はこれからもどんどん面白い作品を創ってくだちい。まる。