今年読んだ小説

  • 隠し剣孤影抄
  • 隠し剣秋風抄

この2つは今年じゃなくてもう去年になるか。藤沢周平は何冊か読んでるが、基本的には超地味という印象。もともと時代小説は地味なものではあるんだろうけど、それでも特に藤沢作品は地味。でも最後はニヤリとさせる。そこが良い。

両方とも原作ゲームはやろうやろうと思って積んだまま放置中。メガテンシリーズもデビルサマナーもまったく触れたことないんですが、見た感じの雰囲気はとっても好みなのでさっさとやりたいんですが、まとまった時間がないといまいちRPGの類はやる気が起きない(3日で一気にクリアとかが理想)。だからその代わりに小説を読んで誤魔化す、という悪循環。ダメ過ぎる。
小説はなんとなく雰囲気は出てる感じでゲームのノベライズとしては悪くない気がします。でもゲームをしてないので実際のところはよく分かりません。

飯野賢治が小説を! という一点のみで購入。そして軽い後悔。いや、まぁ、こんなもんかもしれんけど。
内容はなんつーか、外国の翻訳小説を安いJ文学風味に書いてみました、的といいますか。といってもJ文学って読んだことないし、一体どういうものかもわかんないんですけど(なんだそりゃ)。ストーリーやキャラクターや文章そのもので読ませるものではなくて、あくまで情景をイメージしてそれに浸れてなんぼという感じ。これならビジュアルノベルとかのゲームでやったらよかったんじゃないのかなぁ。DSあたりで。えんぴつでこするのもタッチペンでこするのに変えたほうが手間がかからんしさ。

町田康を読むのはこれで2作目かな。これはすごく面白かった。声出して笑ってしまった。出鱈目時代劇なんですけど、こういう凄みのある出鱈目さだったら大歓迎。最後の狂乱騒ぎとかシュールの極みですよ。あと会話のテンポがすごく良い。ギャグ物のラノベなんかに近い感覚(根っこは落語なんだろうけど)。こういうのをみんな真似したらいいと思います(無理だ)。

言わずと知れた太宰のアレ。ええ、小畑絵でジャケ買いですよ。我ながらミーハーの極みと思う。しょうがないだろ! 安かったしさ!(逆ギレ)。内容は周知の通り、太宰治の半自伝。やたらと卑屈にしかモノを考えられない精神貧弱主人公が延々と女絡みのトラブルで困り果てる。別に「人間失格」という程に非道い人物とは思えないが、本人に生きる気が無きゃもうどうしようもないよな、という感じ。普通に働いて、普通に奥さん子どもを養うってことが如何に大切か。

  • ヘル

筒井康隆もまだこれで3冊目くらいかな。この作品もシュールな内容ではあるんですが、「パンク侍〜」の後に読むといまいちパンチが弱いなと思ってしまう。七五調の台詞回しとかは面白かったけど。

取りあえず最初の1冊だけ。この巻に関して言えば、いかにも富士見ファンタジア文庫的な手堅い吸血鬼ファンタジーといった印象。草河さんのイラストも手堅い。巻が進む毎におもしろくなっていく、という話を聞いているので時間に余裕があれば続きも読んでいきたいなとは思ってるんですが…。

このシリーズは去年、中途半端に暇が出来た時期に友達から適当に借りて読んだんですが、存外にハマッてしまった。特別目新しい設定でもなければ、飛びぬけて面白いということでもないんですけど、1巻の鋼糸で何百の汚染獣をなで斬りにしたところで惚れた(笑)。バトル描写がオーフェンを思い出させる部分があって良いんですよ。常道の異世界・学園ファンタジーから少しズラした感覚もオーフェンちっくで好み。レイフォンの最強っぷりもベタと言えばベタなんですけど、強大な汚染獣相手に単独で戦いを挑む(しかも汚染された荒野で!)という絵面がステキ過ぎるので良し。あと3、4巻で話をまとめてダラダラ続かないようにしてくれたらなと個人的には思うんですが。

  • DDD(1)(2)

すごく楽しめました。なんというか前提として、まったりとしたしつこさがそれでいてクドい(笑)、奈須文章が俺の肌に合ってるっていうのがありますけどね。文章を読んでること自体が快感ですらある。叙述トリック(というほどのもんでもないか)も先へ読み進ませるフックになるし、キャラクター連中も「空の境界」なんかと比べると感情移入がしやすくて良かった。その分、「デタラメバトル」の部分は余計に感じてしまったけれど。ガチのステゴロバトルとかよりは「変則的な能力者モノ」くらいに抑えておいたほうがいい気もする。そういう意味では2巻目の「S.vs.S」は面白かったし、燃えた。